【2026年最新】三軸圧縮試験の原理と実務解釈|UU・CU・CDの違い
構造物の基礎設計や斜面安定計算において、地盤の破壊耐力を正確に評価するための要となるのが「三軸圧縮試験」です。原位置の地盤深部で作用する拘束圧(側圧)を人口的に再現し、せん断破壊時の応力状態を計測する本試験は、土質力学の実務現場において極めて重要な地位を占め続けています。
しかし、試験法の種別である「UU試験」「CU試験」「CD試験」の排水条件の選定ミスや、モールの応力円から導き出される強度パラメーターの拡大解釈によって、過小設計や予期せぬ地盤沈下事故へつながる実務上のトラブルは後を絶ちません。本稿では、三軸圧縮試験の基礎原理から各試験パターンの明確な境界線、計算手順、さらには費用相場や規格基準に至るまで、実務者が判断に迷うポイントを徹底的に解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:三軸圧縮試験は、一軸では再現できない原位置の拘束圧(側圧)下での土の変形・破壊特性を特定し、粘着力と内部摩擦角を正確に導出する試験である。
- 要点2:UU(非圧密非排水)・CU(圧密非排水)・CD(圧密排水)の3種は施工スピードと間隙水圧の消散プロセスに応じて厳格に使い分ける必要がある。
- 要点3:コスト削減を口実にした安易な一軸圧縮試験での代用は重大な地盤変形リスクを孕むため、掘削・構造物荷重条件に合致した規格選定が不可欠である。
【原理と目的】三軸圧縮試験の基礎知識|なぜ側圧をかけるのか?
構造物から受ける鉛直荷重に対して地盤がどの時点で破壊に至るのかを把握することは、基礎工学の基本原則です。土の破壊は、押しつぶされる「圧縮力」そのものというよりも、内部の粒子同士が滑り動く「せん断破壊」によって発生します。そのため、実務では土の限界耐力を示すせん断強度定数を正確に把握しなければなりません。
三軸圧縮試験の最大の目的は、地中の任意の深さにおける応力状態を密閉容器(セル)内で忠実に再現することにあります。ゴムスリーブで覆った円柱形の土供試体を圧力容器に入れ、水圧を均等に加えることで「側圧(拘束圧:$\sigma_3$)」を負荷。その状態を維持したまま、供試体の上部から鉛直方向に「軸圧(最大主応力:$\sigma_1$)」を徐々に増加させて破壊に導きます。
このとき、軸方向の圧力と拘束圧の差向分を軸差応力(主応力差:$\sigma_1 - \sigma_3$)と呼びます。側圧のない状態で上から押しつぶす「一軸圧縮試験」との決定的な違いは、原位置で周囲の土から受けている拘束力を再現できる点にあります。自立しない砂質土であっても側圧を与えることで試験が可能となり、拘束圧の違いによって土のせん断抵抗力がいかに変化するかを直接観察できるのが本試験の核心です。

【徹底比較】UU試験・CU試験・CD試験の違いと実務における使い分け
三軸圧縮試験を実施する際、技術者が最初に直面する重要な分岐点が「排水条件の決定」です。土は土粒子骨格とその隙間を満たす水(間隙水)で構成されているため、荷重が加わるスピードと水が逃げる(排水・圧密される)スピードのバランスによって、発揮される強度が劇的に変化します。地盤工学会や実務では、圧密工程とせん断工程の各段階におけるバルブ開閉条件に応じて、主に次の3タイプに大別されます。
1つ目の非圧密非排水試験(UU試験)は、拘束圧を加える際もせん断時も一切水を逃がさない試験です。急速施工時の粘性土地盤など、間隙水圧が逃げる暇がない短期安定問題に適用されます。2つ目の圧密非排水試験(CU試験)は、一定の拘束圧のもとで十分に水を絞り出した(圧密完了)後、せん断時には排水バルブを閉じて急速に破壊させる手法です。間隙水圧測定器を併用する「CUbar試験」を行えば、有効応力に基づく解析が可能になります。そして3つ目の圧密排水試験(CD試験)は、圧密・せん断の双方で時間をかけて完全に排水させ、過剰間隙水圧を一切発生させずに行う試験です。長期的な斜面の安定照査や盛土の長期沈下挙動に適しています。
| 試験名 | 詳細・数値データ(載荷速度・ひずみ速度) | 一般的な基準・相場(工期・費用目安) | 編集部の見解・実務評価 |
|---|---|---|---|
| UU試験 (非圧密非排水) | ひずみ速度:約0.5%〜1.0%/min 試験時間:数十分〜1時間程度 / 供試体 | 1組(3〜4供試体):3.5万円〜6万円 納期:試料受領後 約3〜5営業日 | 盛土の急速載荷直後の初期すべり照査に直結。飽和粘土では$\phi_u = 0$となり、全応力解析として実務処理が最もスピーディ。 |
| CU試験 (圧密非排水・間隙水圧測定付含む) | 圧密時間:数時間〜1日 せん断ひずみ速度:0.05%〜0.1%/min | 1組(3〜4供試体):6万円〜12万円 納期:試料受領後 約7〜10営業日 | 実務の採用頻度が最も高い。供試体内の間隙水圧を追跡することで、全応力定数と有効応力定数の双方が導出できる高汎用型。 |
| CD試験 (圧密排水) | せん断ひずみ速度:0.005%〜0.01%/min (間隙水圧消散のため数日〜数週間が必要) | 1組(3〜4供試体):12万円〜25万円超 納期:試料受領後 約2〜3週間 | 粘性土での長期安定対策には理想的だが、試験期間とコストが突出。砂質土材料の評価や特殊大規模プロジェクトに限定される傾向。 |
モールの応力円の求め方とせん断強度定数の導出ステップ
三軸圧縮試験で得られた生データは、そのままでは設計計算に使えません。破壊規準として広く定着している「モール・クーロンの破壊規準」に則り、図解的に粘着力 $c$ と内部摩擦角 $\phi$ を抽出するプロセスが不可欠です。
計算の第一歩は、複数の異なる拘束圧(通常は異なる拘束圧を設定した3個以上の供試体)を用いて破壊に至るまでの最大軸差応力 $(\sigma_1 - \sigma_3)_f$ を計測することです。得られた各試験結果から、横軸に垂直応力 $\sigma$、縦軸にせん断応力 $\tau$ をとった直交座標上に「モールの応力円」を作図します。
円の左端は最小主応力となる拘束圧 $\sigma_3$(横軸上の座標 $[\sigma_3, 0]$)、右端は破壊時の最大主応力 $\sigma_1 = \sigma_3 + (\sigma_1 - \sigma_3)_f$(横軸上の座標 $[\sigma_1, 0]$)に位置します。すなわち、円の半径は $(\sigma_1 - \sigma_3)_f / 2$、中心座標は $(\sigma_1 + \sigma_3) / 2$ となります。拘束圧を変えて描いた複数の応力円に対し、その外側に共通して接する直線を引きます。この直線こそが「破壊包絡線」です。
破壊包絡線の関係式は $\tau = c + \sigma \tan\phi$ で表されます。直線が縦軸と交わる切片が「粘着力 $c$」であり、直線の傾き角度が「内部摩擦角 $\phi$」を示します。CU試験で間隙水圧 $u$ を同時測定していた場合は、全応力から間隙水圧を差し引いた有効応力 $\sigma' = \sigma - u$ を用いて円を左側(原点方向)へシフトさせ、有効応力基準の強度定数 $c'$ および $\phi'$ を求めます。この変換精度が、実務における構造物の沈下量計算や支持力照査の信頼性を直接左右します。

【実態検証】地盤工学会基準・JIS規格の遵守と試験室現場のリアル
土質試験の標準化を司る規格体系として、日本産業規格(JIS A 1220:土の一軸圧縮試験方法)をはじめ、地盤工学会基準(JGS 0521〜0524:土の一軸および三軸圧縮試験シリーズ)が厳密に定められています。しかし、土質試験室のオペレーターや現場技術者の証言からは、ハンドリングの精密さがいかに結果を左右するかというリアルな課題が浮かび上がってきます。
土質試験専門機関の主任技士への取材によると、最も神経をすり減らす工程は供試体のトリミング(成型作業)です。不撹乱試料(シンウォールサンプラーやデニソンサンプラー等で原位置採取したコア)から直径35mmまたは50mm、高さはその2倍となる円柱体を切り出す際、わずかなナイフの入れ方のブレや介在する小礫の引っ掛かりによって供試体内部にクラックが生じることがあります。微細な亀裂を見逃したままセルにセットすれば、本来の土質強度よりはるかに低い軸差応力で破壊し、試験結果を著しく歪めてしまいます。
さらに、間隙水圧を計測するCUbar試験では、二重メンブレン(薄いゴムスリーブ)の隙間からの漏水や、配管内に混入した微細な気泡(エア)の存在が測定誤差の主因となります。ある地盤コンサルタント担当者は次のように打ち明けます。
「試験結果シートに印影された数値をそのままCADソフトや安定計算プログラムに入力する技術者が増えていますが、間隙水圧係数(B値)が0.95以上までしっかりと飽和処理されていたか、あるいはメンブレン補正が適切に行われているか、生データのプロセスまで目を光らせなければ重大な落とし穴に落ちます」
一般に知られていない盲点とネットの誤解|一軸圧縮試験で代用できるという危険な思い込み
建築・土木の実務掲示板やネット上の質疑応答では、「コストと工期を縮めるため、一軸圧縮試験の $q_u$(一軸圧縮強さ)からせん断強度 $c = q_u / 2$ を求めて三軸試験の代用とすれば十分ではないか」という短絡的な意見が散見されます。しかし、これは実務上きわめて危険な技術的誤認です。
第一に、拘束圧のない状態で自立しない砂質土や砂礫土には、そもそも一軸圧縮試験を適用できません。第二に、粘性土であっても過圧密比(OCR)が高い地盤やセメンテーション(土粒子同士の化学的結合)を持つ固結土では、拘束圧の有無がせん断破壊挙動そのものを劇的に変えてしまいます。側圧がかからない一軸圧縮試験では、土試料が原位置で受けていた三次元的な拘束効果が解放され、試験体側面の引張応力によって早期に崩壊するケースが多発します。
また、UU試験で求められる非排水せん断強さと、一軸圧縮試験から算定される強度の乖離も深刻です。完全飽和した粘性土であれば理論上は $\phi_u = 0$ となり $c_u$ の値は近づくはずですが、サンプリング時の応力解放や乾燥、わずかな取扱い時の不飽和化により、一軸圧縮試験の強さは三軸UU試験の結果に対して20%〜40%程度低めに計測されることが珍しくありません。逆にこれを過小評価として放置すれば、過剰な地盤改良杭や重厚すぎる擁壁を設計することになり、結果として莫大な無駄コストを施主に押し付けることになります。

【プロの結論】採用すべきケース・過剰設計にならないための判断基準
三軸圧縮試験は高精度である反面、試験費用と工期負担が軽視できません。実務において本試験を採用すべきかどうかの技術的判断基準は、構造物の重要度と荷重プロファイルによって明確に線引きする必要があります。
【採用すべきケース】
・掘削深さが5mを超える大規模山留め工事や、隣接構造物に近接する地下掘削。
・軟弱地盤上に施工される大規模な道路・河川盛土で、段階的な載荷に伴う地盤強度増加率($c/p$)を精密に評価する必要がある場合。
・切土斜面の長期安定照査において、降雨浸透による有効応力の低下と斜面の崩壊確度を追跡しなければならない場合。
・砂質土地盤の液状化判定や動的せん断特性の把握がクリティカルとなる耐震設計(この場合は繰返し三軸試験を適用)。
【慎重になるべき・代用を検討すべきケース】
・小規模な2階建て木造住宅等の布基礎・ベタ基礎設計(スウェーデン式サウンディング試験等の原位置試験と簡易平板載荷試験で十分なケース)。
・短期間で工期が終了する仮設盛土であり、かつ周辺に保全対象物(民家・鉄道・重要インフラ)が存在しない平坦地。
このような低リスク用途では、1件数十万円におよぶ三軸試験を何セットも発注することは徒手空拳の過剰コストとなり得ます。地盤リスクの多寡を見極め、全応力解析(UU)で済むのか、有効応力解析(CUbar・CD)まで踏み込むべきかという「工学的バウンダリー」を設計初期段階で決定することが、優れたエンジニアの条件です。
【三軸圧縮試験】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:UU試験、CU試験、CD試験の概略費用相場はどのくらいですか?
A1:外注する試験機関によって前後しますが、1深度(側圧を変えた3個の供試体1セット)あたりの標準的な費用相場は、UU試験で3.5万円〜6万円程度、間隙水圧測定付きのCUbar試験で6万円〜12万円程度です。透水性の低い粘性土のCD試験はせん断に長時間を要するため、15万円〜25万円以上に達することもあります。サンプリング(試料採取)のボーリング費用は別途加算されます。
Q2:モールの応力円を描いた際、包絡線が水平($\phi = 0$)になるのは異常ですか?
A2:異常ではありません。完全飽和した粘性土に対してUU試験を実施した場合、側圧をどれだけ増加させても水の非圧縮性により土骨格への有効応力が増加せず、すべての応力円の直径(軸差応力)がほぼ同一になります。この現象は「$\phi_u = 0$ の原理」と呼ばれ、内部摩擦角は0度、せん断耐力は純粋に非排水せん断強度 $c_u$ だけで定式化されます。
Q3:試験データで包絡線の切片(粘着力 $c$)がマイナスの値になってしまいました。どう対処すべきですか?
A3:砂質土や正規圧密粘土において、データのフィッティング直線(最小二乗法など)を機械的に引くと、数値計算上 $c$ がわずかにマイナスを示すことがあります。しかし、土質力学上、引張耐力のない土において粘着力が負の値をとることは物理的にあり得ません。原点 $(0,0)$ を通る直線として再回帰させるか、供試体の成形精度不良・拘束圧設定の乖離を再検討する必要があります。
まとめ:信頼できる地盤データを手に入れるための設計指針
三軸圧縮試験は、単なる「数字を出すための室内作業」ではありません。原位置の深層で土粒子と水がどのような力学平衡を保っているかを実験室でシミュレートする極めてデリケートな解析アプローチです。
急速載荷か長期載荷かという施工シナリオと照らし合わせ、適切な試験種別(UU・CU・CD)を選定すること。そして、算出された粘着力や内部摩擦角の背後にある「土の乱れ」や「試験誤差」の兆候を見逃さないこと。試験結果のシートに記された応力円の形状から地盤の生きた挙動を読み解く洞察力こそが、構造物の恒久的な安全とコストの最適化を両立させる最大の鍵となります。 (出典: 三 軸 圧縮 試験(Yahoo!ニュース))